阪神・藤浪が進むべき道 スピードよりも“打ちにくいピッチャー”へ
「藤浪は150キロ台後半の速球を投げられるが、先発だから150キロ前後で十分」
DeNAのルーキー山崎にも同様のことが言えるが、右投手で三塁側に踏み出してクロスステップする投手のボールは、右打者からすれば間違いなく打ちづらいはずだ。
「あれだけクロスステップされると、右バッターは本当に嫌ですよ。インコースにストライクからボールゾーンに入ってくるナチュラルなシュートを投げて、そのあと外角にスライダーでも投げられたらバッターはお手上げです。それを、あれだけ上背があってスピードのある投手がやるんですから、怖くて踏み込めません」
相手にとって打ちにくい投手像。藤浪がどこを目指していくのか、それは本人にしか分からない部分だが、ひとつの方向性と言えるかもしれない。
「藤浪は150キロ台後半の速球を投げることができますが、先発なんですから150キロ前後で十分だと思います。後から出て行く投手の身にもなれ、ということです。リリーフの方が球が遅いって、福原はどう思っているのかと(笑)。チームとして考えた時に、後ろに行くほど良いボールを投げる投手を置かなければならないし、157キロのあとに143キロじゃ、いくらキレがあるといっても、打者が打ちやすいと感じる可能性は高くなりますから」
野口氏は冗談交じりにこう話し、笑みを浮かべた。大谷にはない魅力が、藤浪にはある。必ずしも球速と“勝負”する必要はない。まさに今、藤浪が進むべき道が、見え始めているのかもしれない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count