交流戦ならではの凱旋登板 甲子園に帰ってきた投手たち
プロ入り初の甲子園登板で好投した楽天・松井裕
楽天の松井裕樹投手が27日の阪神との交流戦で、甲子園のマウンドに立った。両チーム無得点の9回、1点でも入ればサヨナラ負けという緊迫感の中、2イニングを投げて、無失点だった。甲子園という舞台は目には見えない力を引き出してくれるのかもしれない。
見ている者は当時と重ね合わせて胸を踊らせている。松井は神奈川の名門、桐光学園2年生の夏の甲子園、今治西戦で大会新記録となる1試合22奪三振をマーク。全国にその名をとどろかせた。セ・リーグの球団ならば、何度もそのマウンドに立つことがあるだろう。しかし、パ・リーグの球団に入れば、聖地での公式戦登板は限られる。クローザーとして定着した松井はプロ2年目で、そのマウンドに帰ってきた。
これまでも甲子園を沸かせ、パ・リーグのチームに入った名投手たちが、阪神戦で聖地に帰ってきている。
神奈川・横浜高校で1998年春夏甲子園連覇した松坂大輔投手(現ソフトバンク)は西武時代の2005年5月18日、阪神戦でプロ初の甲子園登板を果たす。8回を投げて3失点。高校時代、負けたことのない甲子園で敗戦投手になり、話題となった。
だが、さすがは松坂。翌年の交流戦ではきっちりと完投勝利で阪神にリベンジ。プロ初ホームランを放つなど、怪物ぶりは健在だった。
宮城・東北高校時代にノーヒットノーランやセンバツ準優勝を飾り、日本ハムに入団したダルビッシュ有投手(現レンジャーズ)は2006年5月18日の阪神戦でプロ初の甲子園登板を果たした。7回1失点の好投で勝利投手になった。
南北海道・駒大苫小牧で頂点に立った田中将大投手(現ヤンキース)は2007年6月20日、楽天での1年目でプロ初甲子園登板を果たした。高校時代は自身に黒星はついたことがなかったが、この時の阪神戦は5回3失点で負け投手に。2010年の5月16日に2度目の甲子園登板を果たし、7回3失点で勝利投手になっている。
これからも多くの球児たちが甲子園のマウンドに立つ。経験を積み、プロに入っていく投手もいるだろう。甲子園でいくつもの名場面を作ってきた好投手たち。その記憶が色褪せることはない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count