天国の恩人に捧げたウイニングボール 中日・若松が踏みしめた確かな一歩
無名の存在から中日に入団、そしてつかんだ初白星、20歳右腕が見せる成長の跡
天国で見守る恩人の眼力の確かさを証明した。中日の3年目右腕・若松駿太が、2日の西武戦に先発。6回3安打無失点の力投で、うれしいプロ初勝利を挙げた。
お立ち台では、入団時の担当スカウトで、昨年2月に他界した渡辺麿史さんに「早くウイニングボールを渡したくてやってきた」と明かし、声を詰まらせた。
スカウトの力を感じさせる指名だった。福岡・祐誠高の出身。2年秋からエースだったが、3年の夏は甲子園出場どころか、県大会2回戦で敗退した。目標とする中日・吉見のように、生命線は低めへのコントロール。150キロに迫る快速球を持つわけではなく、全国的には無名の存在だった。
それでも、渡辺スカウトが何度も足を運び、将来性を感じ取った中日は2012年のドラフト7位で指名。その年の最下位指名だったが、2年目の4月には1軍デビューと期待以上の成長を見せた。