日本ハムの強さの秘密 若手を束ねる主砲・中田の変化
「“やんちゃ坊主”の中田翔がいたら、ここまでは強くない」
中田の変化はその言葉からも見えてくる。5月26日のヤクルト戦で、中田は3ランを含む2安打5打点と活躍。その時点で、ホームラン、打点の2冠となった。試合後のヒーローインタビューでは、自身の打撃への満足感ではなく、チームメートへの感謝の言葉ばかりが並んだ。
『打点トップは)本当に嬉しい事ですけど、チャンスで僕に回してくれて、そこで走ってホームに還ってきてくれるみんながいる。そのおかげだと思ってるので、もっともっと貢献したいなと思います』
打線の中心、チームリーダーとしての自覚がにじむ言葉。野口氏は「それもチームが勝ちたいがために成長した部分でしょうから、ものすごくいい傾向だと思います」と言う。
「大人になったし、この成績も納得ということですよ。そういう選手が一番上にドンと座ってるんだから、強いはずですよ。今まで通りの“やんちゃ坊主”の中田翔がいたら、ここまでは強くない気がします。
稲葉が抜けて、小谷野と大引が抜けて、チームリーダーとなる人間がいなくなった。おまけに金子誠もいなくなった。誰がやるかと言ったら、中田翔しかいない。田中賢介が帰ってきたとはいえ、一度はチームを離れていた人間ですからね。おそらく、陽岱鋼にもそうなって欲しいはずなんですけど、彼はまだちょっとヤンチャなところがあります。でも、2人そういう選手がそろうと、日本ハムは盤石でしょうね」
バットだけでなく、ハートでもチームを牽引する侍ジャパンの4番・中田。日本ハムの強さの秘密が、この男の言動1つ1つに凝縮されている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count