広島優勝の可能性は「まだ十二分にある」 キーマン新井はなぜ復活したか
「ホームランを狙って打たないほうがいいタイプ」、阪神では自分の形を失っていった!?
2005年には広島で43本塁打を放ち、ホームラン王のタイトルを獲得した。「大砲」というイメージもあるが、野口氏はその見方を否定する。
「そんなにホームランを狙って打たないほうがいいタイプですから。彼はヒットの延長がホームラン(という意識)で打ったほうがいいタイプなので。ホームランを狙って打とうとすると、どんどんバッティングを崩していく。右中間に二塁打を狙ってる方がいいんじゃないですかね。
大きく分類すればホームランバッターの部類に入るでしょうけど、そんなにたくさん一発を打てるイメージはないですよ。いいところで二塁打とかを打つイメージです。対戦していた時もそうだし、味方でやっていた時もそうでした」
その意識が欠けていたのが、阪神時代だったのかもしれない。メディアやファンからの注目度、そして見方が厳しい阪神で、新井が自分の形を失っていった可能性を野口氏は指摘する。
「おそらく、阪神ファンとメディアは長打を期待している。でも、(入団)1年目はホームランが8本だった。それで、新井に厳しくなってしまったんですよ。別に、現場としてはホームランは期待していない。つないで打てばいいんです。後ろを金さん(金本)が打っていたんだし。
でも、ホームランを打とう、打とうとして、どんどん成績が下がった。打たないと(周りから)言われちゃうものだから。阪神では、よっぽど周りの声が耳に入ってこないタイプ、入ってきても気にしないタイプの選手じゃないと(厳しい)」
広島ファンは、8年ぶりに戻ってきた新井を温かく迎え入れた。もちろん、黒田とは経緯が違うため、復帰に対して厳しい声も少なからずあった。ただ、自らのバットで封じていった。今や、黒田の1球1球に対する声援と同じように、新井の1本のヒット、1つの好プレーに、割れんばかりの大歓声が沸き起こる。