広島優勝の可能性は「まだ十二分にある」 キーマン新井はなぜ復活したか
「精神的に解き放たれたのが一番」、技術的にも改善が見られる新井が優勝へのキーマンに
「カープファンの中では、あの2人はすでにレジェンドでしょうからね。(復帰して)最初は半々だったじゃないですか。『帰ってくるな』という意見もあった。それを自分で黙らせたわけですから。成績で。大したもんですよ。元々、人気選手でしたからね。それで人気も復活したわけですから」
広島でプレーし、精神面が充実してきたことで、技術的にも改善が見られるという。
「多少、楽に(バットを)振っている分、いい意味で振りが大きくなっている。縮こまった変なスイングじゃなくて、伸び伸びとした、前が大きい、いいフォロー(スルー)になっているように見えます。カープで成績を残した時に近いスイングになっている気がしますね。精神的に解き放たれたのが一番でしょう。来年には2000本(安打)もいくでしょうね」
野口氏はこう指摘する。まさに全盛期の姿を取り戻しつつある新井。金字塔へも残り97本と、達成が見えてきた。
交流戦では、開幕から首位争いを繰り広げてきた巨人とDeNAが大きく負け越した。5位・広島と首位・巨人のゲーム差はわずかに「3」。Aクラスどころか、優勝のチャンスも十分に残されている。
「新井はシーズン前に期待していた選手でした。心機一転、やってくれるんじゃないかと。新井が活躍することによって、周りの若手も引っ張られて、カープが行くんじゃないかと。それで、広島を優勝候補にしたんです。黒田の復帰じゃなくて、新井の復帰が理由で優勝候補に挙げました。でも、けが人続出で最下位。しかも、外国人が怪我するとは思わなかったんで」
野口氏はこう言って笑う。だが、手術を受けたエルドレッドが予想よりも早く復帰し、早くも存在感を発揮している。さらに、開幕後に補強したシアーホルツが戦力として計算できるようになったことから、打線は厚みを増した。野口氏は「広島にもチャンスは十二分にある」と付け加える。
左手甲の痛みを抱える新井だが、この先もキーマンとなることは間違いない。復帰した黒田と新井に引っ張られ、生きのいい若手も活発にプレーして、優勝を勝ち取る。広島ファンの悲願が現実になる可能性は、決して低くない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count