【小島啓民の目】良い選手の条件は? 連敗中のDeNAに見るコンディション維持の大切さ

「毎日勝ちたい」という思いも分かるが……

 1年間ほぼ毎日出場し続けること、更にローテーションを守ることなどは、一般の人には想像できない体力的な厳しさがあります。テレビ画面に映る姿を見ると、何食わぬ顔でプレーをしていますが、実際は大変のようです。「プロ野球選手は、野球が毎日やれて良いですね」と思われるかもしれませんが、それなりの辛さがあるということは明白です。そういうこともあり、プロ選手がコンディショニング維持にはかなり気を使っているのも事実です。

 スパイクを特注するなど用具に気を遣ったり、トレーニングを試合の合間に行ったり、更には、トレーナーを個人的に雇ったりというのも全て「身体が資本」ということを十分に分かっているからでしょう。

 アマチュアの選手を指導する際に、「良い選手の筆頭条件は?」とよく問いかけます。「打てる選手」「抑える投手」などの回答がありますが、私は、第一に「必ずそこにいる選手、大事な試合に必ず出場できる選手」と考えています。

 どんなに素晴らしいポテンシャルを持っていたしても、怪我をして試合に出れなかったのでは、良い選手と言えないでしょう。スポーツは、残念ながら結果で判断されることが多い。したがって、妥協のない自己管理が大切になります。

 さて、苦しんでいる横浜ベイスターズですが、選手も勝利を目指して懸命に頑張っていることはよくわかります。ですが、まずは、チームとして1年間戦っていくコンディショニング計画の立案を行っては、と思います。

 例えば、大リーグのように主力の休養日とか、先発ローテの入れ替えなど。「毎日勝ちたい」という首脳陣の考えもよく分かりますが、休養とリフレッシュも必要でしょう。

 更に、負け試合を何試合作れるのかという計算を行って、「落としてもいい、勝てたらラッキー」という試合をつくることも重要だと思います。

 連敗で貯金を一気に使い果たしてしまいましたが、セ・リーグは混戦模様。まだまだ優勝の行方はわかりません。中畑監督の指揮のもと、開幕からプロ野球を盛り上げてきたベイスターズには後半戦もぜひ頑張って欲しいと願っています。

【了】

小島啓民●文 text by Hirotami Kojima

小島啓民 プロフィール

kojima
1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY