青木宣親の離脱はジャイアンツに大打撃 外野手補強を報じる地元メディアも
200本安打も見えていた青木、最低1か月の離脱は大きな空白に
何よりも残念なのは、今季は例年以上に安定した打撃が保てていたことだ。出場した67試合のうち打率が3割を下回ったのは、わずか17試合のみ。安打数、出塁率、マルチ安打試合数など、数多くの打撃成績でリーグ10傑入りを果たしていた。
青木自身も手応えは感じていたようで、打撃成績がわずかに下降した時でも「去年よりいいバッティングができている」と話し、昨年よりも一段階上のレベルで打撃を追究していた。67試合で83安打。200本安打到達も叶うペースだっただけに、最低でも約1か月の戦線離脱は大きな空白になってしまう。
もちろん、チームにとっても大打撃だ。オープン戦で左腕を骨折した正右翼手ペンスは5月下旬にDLから戦列復帰したものの、再び手首に違和感を覚え、DLに逆戻りした。そこへきて、チーム最高打率を誇る正左翼手の青木も離脱。キャンプインした頃は、外野手の層が厚く、誰を開幕ロースターに残すべきか、うれしい悩みを抱えていたが、今ではすっかり手薄なポジションになり、地元メディアは他球団から外野手を獲得する可能性まで報じている。
6月24日現在、チームは5つの貯金を持って地区2位につけている。ワールドシリーズ連覇を目指すのであれば、現在の位置から下がることだけはしたくない。開幕当初からDL入りしている先発ケインとピービが近日中に戦列復帰するという明るいニュースもあるが、それ以上に打撃の軸となるべき選手の離脱は痛いはずだ。ボウチー監督も「1番打者とクリーンナップの1人がいなくなるのは痛い」と打線の戦力ダウンに頭を悩ませている。
青木やペンスの復帰を待たずにトレードで外野補強に取りかかるのか、傘下マイナーに所属する選手たちを起用し、奮起に期待しながら難局を乗り切るのか。今季から現職に就いたエバンスGMがどんな手を打つのか、気になるところだ。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。