主力の大量放出はあるのか 主砲離脱のマ軍に広がる暗雲とイチローへの影響

イチローは出番増もここが正念場、3000本安打に近づくか、それとも…

 元々、春先から上昇気流に乗れない状況を見かねたオーナーがトレードで主力を放出するのでは? との憶測が早い時期から出ていた。

 6月中旬頃にジェニングス監督は「最後まで諦めない」と噂を否定していたが、それもスタントンがいたときの話。エースのホセ・フェルナンデス投手が7月上旬にも復帰する見通しだが、元々打撃陣の不振とリリーフ陣の不調が低迷につながっていただけに根本的な解決につながるのか微妙。むしろ、本当にあきらめない姿勢を示すならば、先発投手との交換でパドレスのジェスティン・アップトン外野手のような強打者を獲るくらいの補強をしないと、勝率5割も見えてこないだろう。

 現時点で球団はスタントンの代わりに、イチローを右翼で起用していく方針のようだ。球団公式サイトのフリサロ記者が「通算3000安打に114安打に迫っているイチローが偉業への歩みを加速させるかもしれない」と指摘するように、ベンチを温めることの多かった41歳の出場機会は増えそうだ。

 とはいえ、それが今後も保証されるとは限らない。来季以降を見据える戦いに移行した場合、若手起用に大きく舵をとるだろうし、イチローのバットが湿れば補強に踏み切るかもしれない。不透明な未来をつきつけられた51番がこれから1、2週間でどこまで存在感を示すことができるか、ある意味、正念場とも言える。

 昨季まで所属したヤンキースでは故障者が続出し、必要とされたときに結果を残してきたイチロー。チームが窮地に陥った今、レジェンドの底力に期待したい。

【了】

伊武弘多●文 text by kouta Ibu

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