先発&中継ぎこなす貴重な存在 ソフトバンク快進撃の裏に寺原の復活あり
打者陣からも称賛の声が上がるカットボール、チームにとって頼もしい戦力
投球練習再開後は「右膝に負担のかからないフォーム」を模索したが、なかなか思い通りのボールはいかなかった。どうすればいいのか。「結果的にそこではなかった。膝の負担関係なく、いいボールがいくフォーム。膝のことばかり考えていても、いい球はいかない」。力強いボールが投げられるように意識を持っていたことで光が見えた。
3月25日のウエスタン・リーグのオリックス戦(神戸サブ)でリリーフ登板し、3イニングを1失点とすると、そこから5試合に投げて2勝2セーブ。防御率1・02の好成績を残すと、ついに1軍昇格の切符をつかむ。
5月5日のロッテ戦(ヤフオクD)で初先発し、1失点の好投。その後はローテの関係で3試合に中継ぎで登板すると、2度目の先発となった5月24日の日本ハム戦(札幌D)で7回無失点で今季初勝利。その後は先発4連勝中と、先発投手陣でも屈指の安定感を見せている。
真っすぐは150キロ前後を計測。そして、カットボールの威力が素晴らしい。打者の手元で鋭く変化しており、これには12球団最強のチームの打者陣からも称賛の声が上がっている。登板10試合で四球は8個とコントロールも安定している。
ソフトバンクはオールスターまで6連戦がなく、前半戦の残り試合、寺原はリリーフに回る予定だという。ロングリリーフも出来る上に、現在の信頼度からすれば、安定感に欠くバリオスに代わって勝利の方程式の一角に入ることも考えられる。先発、リリーフともにハイレベルでこなせる寺原の存在は、ソフトバンクにとって頼もしい戦力の1人だ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count