なぜロ軍選手が軒並み上位に? MLBで持ち上がる球宴ファン投票の問題点
間近に迫る球宴先発メンバー発表、1000万票以上を集めるロイヤルズの選手たち
日本ではすでにオールスター選手が発表されたが、メジャーでは7月5日午後7時半(米国東時間)から、スポーツ専門局ESPNで大々的な「先発メンバー発表番組」が放送される。例年とは異なるのが、この日発表されるのは、ファン投票で選出された「先発メンバー」のみ。控え選手、投手陣、最終投票候補者は、翌6日の「オールスター選出番組」で発表される予定になっている。
6月29日に発表された最後の中間発表では、ア・リーグ野手8ポジションのうち、捕手(サルバドール・ペレス)、二塁(オマー・インファンテ)、遊撃(アルシデス・エスコバル)、外野手(ロレンゾ・ケイン、アレックス・ゴードン)の5ポジションを、昨季リーグ優勝したロイヤルズ勢が占めた。ナ・リーグでは、右腓骨骨折で無念の故障者リスト入りした青木宣親(ジャイアンツ)が、いまだに外野手部門の4位をキープ。“たら・れば”の話をしたらキリがないが、もし怪我さえしてなければ、自身初となるオールスター出場は間違いなかっただろう。
地元サンフランシスコのファンはもちろん、日本のファンの支持を受けて大健闘している青木だが、もう1つ大きな後押しをしているのが、昨季所属したロイヤルズのファンだ。
前述の通り、今季のファン投票ではロイヤルズ・ファンが大活躍し、一時はア・リーグ野手の全ポジションをロイヤルズ勢が独占するという事態も発生した。そんな忠誠心に厚いロイヤルズ・ファンは、29年ぶりのワールドシリーズ進出に貢献した青木のことを忘れてはいない。オールスターのオンライン投票は、両リーグの選手に投票しなければならないシステムになっているため、ナ・リーグ外野手に名を連ねる青木に投票しやすいという状況がある。
ロイヤルズの選手は軒並み1000万票以上を獲得。ナ・リーグで1000万票を超えているのはブライス・ハーパー(ナショナルズ)ただ1人ということを考えると、驚くべきことだ。だが、この結果を見て「ロイヤルズのファンは熱心だ」と考えるのは、ごく一部の人だけ。今回の「ロイヤルズ旋風」を受けて、オールスター選手の選出方法を再考するべきではないか、という意見が噴出している。メジャーのオールスターは「祭典」以上の意味を持つからだ。