“超”ユーティリティープレーヤーへ 日本ハム杉谷が諦めなかったモノ
バッティングは青木宣親を「参考」、栗山監督も成長認める“元気印”
こだわりを捨てなかったのも大きい。スイッチが最たるもの。今や強みだ。「そこに関してはいろいろ言われてきましたけど、やめようとは思いませんでした」。自らの生きる道を見定めていたのだろう。そしてバッティングフォームは左右いずれもメジャーで活躍する青木宣親を思わせる。「参考にしています」とハッキリと断言する。
秘蔵っ子の進化に指揮官も目を細めている。栗山監督は「まだまだだよ。でも自分らしさを表現できるようになってきたよね」。手放しでは決して褒めない。それでも成長を確かに認めている。
プロ野球界。誰もがレギュラーを目指す。試合に出てこそ、プレーヤーだ。とはいえ、シーズンは長丁場。様々なシチュエーションにピタリとハマり、それでいて高いパフォーマンスを維持できる選手は貴重だ。かゆいところに手が届く――。杉谷はそんな存在なのだろう。
名門・帝京高で春夏通算3度、甲子園に出場した。2008年のドラフトで6位指名を受けて入団。10年にはイースタン・リーグの記録を更新する133安打を放った。11年にはフレッシュオールスターで優秀選手賞もに輝いた。底抜けに明るいキャラクターは表の顔。人知れず、コツコツと努力を重ね、1軍定着を勝ち取った。
ペナントレースはすでに折り返した。連覇を狙うソフトバンクが若干だが、走り始めている。その背を追う日本ハムにも覇権奪還のチャンスは十分にある。杉谷は「今年はボクの野球人生が懸かっていると言ってもいいぐらいです」。北の大地で輝きを放ち続ける元気印がチーム力を底上げする。今やもう、ファイターズに欠かせない大きく貴重な戦力だ。
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J・T●文 text by J・T