史上稀にみる混セ、前半戦の数字で振り返る各球団の戦いと後半戦展望

出遅れと投打噛み合わない時期を乗り越えた広島

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10試合平均の得失点と勝利数で見る広島の前半戦

○5位・広島

 主砲のブラッド・エルドレッドのケガによる出遅れや、丸佳浩、菊池涼介ら昨年得点力を支えた選手の不調などが重なり3月から4月は平均得点が3点を割る状況が続いた。それでも投手陣の力で勝ちを拾い借金を最低限に抑え粘ると、5月に入り打線が徐々に復調。

 5月半ばより今度は投手陣の炎上が相次いだが、徐々に日本に適応した新外国人ネイト・シアーホルツや復帰したエルドレッドらで厚みを増した打線が得点力を高め耐えた。

 一時期は1試合平均で5、6点ほど奪われる状況が続いており、打線のカバーがなければ広島の負けはもっと増えていたと見られる。

 出遅れを喫し、投打が噛み合わない状態で戦った期間もありながら借金4というのはある意味ではうまく戦ったといえる。ベースの戦力は整っているので、今後投打が噛み合う期間が訪れれば、さらに勝ちを重ねていく可能性はある。

飛び抜けて悪い状態ではないものの負けが込んだ中日

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10試合平均の得失点と勝利数で見る中日の前半戦

○6位・中日

 春先の好調は投打の噛み合った状態がもたらしたもの。4月後半からは平均得点、平均失点がセ・リーグ平均をまたいで行き来する状況が続く。そこまで悪い状態ではなかったが5、6月が17勝27敗と負けが込んだ。

 補強はラファエル・ペレス、ドリュー・ネイラーの2人の投手を選択。得点力の上積みはあまり期待できないが、高い外野の守備力なども生かしながら失点を低く抑え勝ちを増やしていく方針と見られる。

 シーズンがさらに深まれば、主力選手のケガや戦力の上積みによって均衡は崩れるだろう。得点力、失点抑止力ともに良い状態にある広島を軸に、得点力上昇の見込みがある巨人とヤクルト、失点を抑えれば安定しそうなDeNAと中日、先発投手の力量は確かな阪神がどう絡んでいくかに注目したい。

【パ・リーグ編はこちら】

DELTA●文 text by DELTA

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

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