3強がハイレベルでしのぎ合うパ 前半戦の数字で振り返る各球団の戦いと後半戦展望

僅差の試合で勝ちを拾っていった楽天

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10試合平均の得失点と勝利数で見る楽天の前半戦

○5位・楽天

 唯一といってよい平均得点が平均失点を上回っている6月に勝利を稼いでいる。この時期は復帰した辛島航や救援陣が好調だった。しかし、嶋基宏と藤田一也の離脱で、その局面が終了したのがわかる。

 この期間以外で相対的に勝ちが稼げているのは、春先と5月の半ばということになるが、いずれも得点よりも失点が多い時期で、僅差の試合で勝ちを拾い集めていた。それでも10試合で4?6勝程度のペースでしかなく、貯金をつくったり借金を返していくのは難しかったと見られる。失点をもう一段階少なく抑えるか、得点力を上げるかをしないと、状況は動かせそうにない。

春先以降は得失点差が拮抗、勝ちを拾いたかったオリックス

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10試合平均の得失点と勝利数で見るオリックスの前半戦

○6位・オリックス

 めまぐるしい前半戦だった。主力選手の調子が上がらず大きく出遅れると、フランシスコ・カラバイヨを起用し得点力を改善。さらに出遅れた主力救援陣に替えて塚原頌平ら未活用だった戦力を生かし打開を図り、最悪の状況は脱した。

 5月は得点力をリーグ平均レベルに戻していたが、後半よりカラバイヨの当たりが止まり、糸井嘉男がコンディションを悪化させ再び急激に低下し負けが込んだ。金子千尋が復帰し、佐藤達也や平野佳寿、岸田護らが調子を取り戻し失点を減らしていたため、この局面で勝ちを稼ぎたいところだった。

 借金の多さが際立つが内容はそこまで悪くない。得失点が拮抗していた時期にもう少し勝ちを拾えていれば状況は違ったはずだ。後半戦は先発投手陣が、コンディションはともかくメンバー的にはそろいそうだ。そこにトニ・ブランコ、T-岡田らの長打力が戻れば、復調はあるかもしれない。

 先発投手陣にこれ以上大きな問題が生じなければ、後半戦もソフトバンクが有利に戦うだろう。しかし日本ハムが得点力を上げ、西武が失点を減らしていければ、隙を突いて一気に差を詰める展開もありえる。

 下位3球団は、何らかのアクシデントが生じて3強から脱落したチームをかわすというのが現実的な目標だろう。現状、改善の余地はオリックスが最もあるように見えるが、借金が多過ぎるか。

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DELTA●文 text by DELTA

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

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