巨人ローテ陣「2か月の悪夢」にピリオド

勝てない期間で引き起こした「パニック」、「なにが正しいのか…」

 菅野は7回1失点の好投をしても援護がなく、勝てない試合もあった。エースは「投手の勝敗は仕方のないことです。チームの勝利に貢献できる投球を続けたい」。ポレダは「自分だって野手に助けられることも多い。勝てていないことはそこまで気にはしていない」。杉内も「(勝ち負けは)こればっかりはしょうがないもの」と長いシーズンを戦う上で、決して珍しくはないことと受け止め、気にする素振りを見せていなかった。

 勝てない中で何が大切か。それは自分自身の勝敗に左右されず、自分のスタイルを見失わないこと。勝てていないとフォームやルーティーンを変えたくなる。だが、彼らは多くを変えることはしなかった。菅野は直球を生かすために腕の振りを微調整。ポレダ、杉内も投球スタイルは変えずに配球や自身のボールのキレ、データ分析など、通常と変わらないルーティーンを保った。

 そして、一番、時間のかかった高木勇にも白星が2か月ぶりにやってきた。

 3人とは違い、ルーキー右腕はまだプロでの経験が浅く、「なにが正しいのかパニックになった」と出口が見えなかった。受ける捕手は開幕から阿部、相川、實松、小林と決まっていなかった。この勝てない期間は苦しかったが、得たものは大きいだろう。準備の仕方や配球や相手の狙いなど、痛い目にあって学んできた。この2か月は無駄にはしない。

 菅野、ポレダ、杉内は自分に対する自信とルーティーンがあったから、ドツボにはまることなく、トンネルを抜けられた。高木勇には大きな経験となった。杉内は疲労の影響で登録抹消になってしまったが、ローテにはこの1~2か月で6勝と投手陣を支えた好調のマイコラスがいる。菅野は24日の広島戦で8回1/3を1失点。前田健太との投げ合いを制して8勝目を挙げるなど、再び勢いがついてきた。ポレダ、高木勇に開幕直後の勢いが戻り、打線に活気がつけば、混戦のセを抜け出すことができるだろう。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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