意地を見せた男・村田修一 はねのけた2つの屈辱
カステヤーノスの獲得、チャンスでの交代…
復活を期待する首脳陣だが、ヒットが出なければ、他の選手に期待もかけたくなる。7月30日の横浜DeNA戦。村田に願ってもないチャンスがやってきた。0-0の8回1死満塁。試合を決めに打席に向かおうとしていた。相手は左腕の大原。今季、左投手に対しては高い打率(7月31日で4割7厘)を残していた。自信を持っていたが、原監督は代打・高橋由伸を送った。これがはまり、ベテランはレフトへ犠牲フライを放った。
左投手に対して、左バッターが代打にいくことは相性を考えれば珍しいケースと言える。村田は右打者にも関わらず、左投手が相手の時に、左打者に代えられた。ベンチに静かに腰を下ろし、試合を見ていた。悔しさを押し殺しながら。
翌日の7月31日。中日戦。カステヤーノスが出場選手登録された。好調だった亀井善行外野手の負傷離脱で助っ人はレフトにまわった。村田はファーストでプロ初スタメン。緊張感を持って試合に挑み、ボールをさばいていった。決勝ホームランの場面。相手投手はドラゴンズのエース・大野。球界屈指の左腕だった。勝ち越しのチャンスで打席が来たが、今回、原監督は動かなかった。村田に勝負を託した。
そして村田は一発で試合を決めた。カステヤーノス入団、左投手相手に左打者を代打に送られる屈辱をはねのけ、本来の姿に近づいた。村田はまだまだ大輪の花をさかしてくれるだろう。この男には逆境をはねのける力がある。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count