MLBで「日本帰り」のコーチ増加　元中日パウエル「日本の経験を見込まれて」

日本で養われた分析力「毎日必死でビデオを見て研究した」

　メジャーリーグのコーチの役割は日本と多少異なるかもしれない。試合前の打撃投手を務めたり、室内ケージで選手にトスを上げるなど、指導よりも試合に向けた準備をサポートするのが主な仕事だ。

　その中でも、試合前に「ビデオルーム」と呼ばれる相手投手の映像が準備された部屋で選手と一緒に対戦相手を分析する作業は打撃コーチの重要な役割の一つだ。「最近では各球団とも莫大なデータがそろうようになった。それを効率よく選手に伝える上で、日本での経験がとても役に立っているんだ」と言う。来日当時、パウエルが最も苦労したのが、米国投手よりも緩い変化球を多投する日本投手の配球に慣れることだった。

「日本では相手投手の情報がまったくなかったから、毎日必死でビデオを見て研究した。ホテルに帰ってテレビをつけても言葉が分からないから何もすることがない。だから球場の外でもずっと日本の投手のビデオを見て分析していた」と振り返る。メジャーのコーチ業で必要な分析力は異国の地で養われていったのだという。