【高校野球】苦しんできた仙台育英のプロ注目選手 佐藤世と平沢は甲子園で復活するか

決勝では見違えるような投球を見せた佐藤世

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仙台育英・佐藤世那【写真:高橋昌江】

 迎えた決勝。古川工の1番打者からフォークで空振り三振を奪うと、ノッていった。7回に1死満塁のピンチがあったが、連続三振で切り抜けた。最終回は百目木に譲ったものの、8回を投げ、被安打5、10奪三振と一夜で変貌を遂げた。準決勝も観ていたスカウトは「昨日は自分の思っているところに投げられていなかった。今日も本来の状態ではないけど、上向いている感じで投げられている。これをきっかけにベストな状態に戻ってくればいいね」と話した。

 大会を終えて数日後、佐藤世は「東北大会後、ボールを投げていなかったので(宮城大会は)インコースを使えませんでした。指先の感覚も良くなくて、フォームもバラバラ。左バッターへのストレートはシュート回転していましたし。フォークも安定しなくて、落ちない時がありました。スライダーもヒジに不安があって……」と振り返った。

 7月21日に甲子園出場が決まり、8月1日に出発するまでに紅白戦3試合が行われたが、そのうち2試合に先発。「指のかかりがよくなっている」と、その表情は大会中に比べて明るくなった。投球練習だけでなく、大会中は軸がブレていたことから、太もも裏を締めるために踏み台昇降のトレーニングをするなど、再調整できたことはプラスになるだろう。
 
 春、甲子園には悔しさを残してきた。

「決勝までいきたいですね。1回、味わってみたいですよね、甲子園の決勝がどういうものか」

 エースはこう言って前を向く。

 そして、もう1人のプロ注目選手も苦しんできた。打率1割7分6厘。平沢の宮城大会の打率である。全6試合に出場し、打ったヒットは3本。寂しい数字であるが、打点はチームトップタイの8点を挙げた。

 平沢は春の東北大会初戦の6月5日、右足に死球を受けた。「立っているだけでも痛かった」という状態でフル出場。試合に敗れ、その日のうちにレントゲンを撮ると、右足小指に2本のヒビが入っていた。この日以降、平沢は治療に専念した。

 患部に超音波骨折治療器を当て、やれる練習といえば、エアロバイクをこいだり、ロープを登るくらい。右足小指に負担がかからない程度に身体を動かしてはいたが、打席には立てないため、打撃の感覚は鈍った。7月に入り、全体練習に入ったものの、芯で捉える確率は下がっていた。

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