「ポジション譲りたくない」 ロッテ田村龍弘が吐露した正捕手への思い
満塁弾も「ホームランはおまけのようなもの」
7月29日の埼玉西武戦(QVCマリン)。1点リードで迎えた8回の攻撃だった。代打・福浦和也の敬遠四球により、マリーンズは1死満塁のチャンスを迎えた。
打席に向かう田村を呼び止めた伊東勤監督は、「打てなくてもいいから思い切っていけ」と言葉を送った。7月上旬に足首を痛めて以来、田村はまともに左足で踏ん張ることができなくなっていたが、「頭をさらにして強いスイングを心がけた」という結果の満塁ホームラン。プロ初の経験に笑顔がこぼれ、試合の流れはマリーンズに大きく傾いた。
大事にしたのは、そのあとの最終回の守備だった。リードは7点。観ている多くの人々が勝利を確信するなか、田村は司令塔として気を緩めることなく、頭を切り替えていた。「ホームランはおまけのようなもの。“あの一打で勝負が決まった”とも言われましたけど、西武には下位打線からランナーをためられたり、一発もあるので最後までわからなかった」と高い集中力を保っていた。
ようやく少しだけ勝利が見えてきたと感じたのは、先頭の鬼崎裕司をレフトフライに打ち取ったときだったという。