ブルージェイズ、93年以来のPOへ 自信与えた大型補強、8連勝と破竹の勢い

足りないピースを埋める存在、プライス「明日のことは考えない」

 元々ラテン系の選手が主力に多く、開放的なチームカラー。試合前の全体練習前のグラウンドでは、ラッセル・マーティン捕手を中心に数人の選手がサッカーボールを蹴ってウォームアップをするのが恒例だ。クラブハウスでは小型のスクーターで遊ぶ選手もいれば、静かに読書に励むディッキーのような選手もいる。

 多様な文化が入り交じるトロントを本拠地に置く球団らしく、それぞれが思い思いの過ごし方で試合への準備を整えるのだが、一度試合が始まれば、勝利という目標のもとに結束できる強さがある。昨季までは10連勝をマークする爆発力があった反面、10連敗する危うさも持ち合わせていた。ここ一番で頼りになるエースこそが足りないピースだったようにも思えただけに、プライスの加入は特に大きい。左腕は「目の前の試合に勝つことだけに集中することが大事だ。明日のことは考えない」と早くもリーダーとしての風格を漂わせている。

 眼下のライバルを敵地で3タテし、逆転優勝への弾みはついた。両者の直接対決はあと10試合残しており、3年連続シーズン敗退を避けたい名門球団も意地を見せるだろう。9日の試合で6回2失点と好投しながら5敗目を喫した田中将大投手も、来週末のトロントでの再戦に向けて奮起してくるはずだ。

 シーズン中の大型補強を敢行した追いかける立場のカナダの新興球団と、トレードを静観した追われる名門球団。ペナント争いが激しさを増していく夏場、目が離せない展開に胸を躍らせる日々が続きそうだ。

【了】

伊武弘多●文 text by kouta Ibu

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