【高校野球】16K快投で初戦突破 秋田商エース左腕・成田は「石川2世」か「松井2世」か

切れのあるスライダーは松井のよう?「そう感じる部分はある」

 力強い直球と大きく曲がるスライダーは、むしろ2年夏に桐光学園(神奈川)のエースとして大会最多の22奪三振をマークし、甲子園を沸かせた楽天の若き守護神を彷彿とさせる。「スライダーは松井裕樹のようだった」との質問に、指揮官もうなずいた。

「そう感じる部分はありますね。落差は及ばないけど、いい時はボールからストライクに入って来るスライダーで見逃し三振も取れる。(体が)小さい割に打点(リリースポイント)は高いので、球速を145、6キロまで伸ばしていけば、松井のような投手に近づけると思います」

 2年前の甲子園で1年生ではただ一人ベンチ入りした成田は、初戦の富山一戦にリリーフで登板。2回無失点だったものの、チームは0-5で敗れた。太田監督は「彼は2年前の夏にここのマウンドで何もできなかった悔しさもあっただろうし、甲子園を経験しているのは(チームで)彼だけ。何も言うことはありませんでした」と試合前にアドバイスは送らなかったという。その期待に見事に応えた。

「体は小さいけど、体はすごい。下半身が太いし、どっしりとしている。それは自分1人で作ったもの。全体練習が終わっても1人でウエートしている。私が朝、学校に行くとトレーニングセンターから出て来る彼によく会いました。

 春まではマウンドでカーッとなるところがあって『野球は一人でやるもんじゃない。ノーヒットノーランでも、三振をたくさん取っても負けることもある。バックを信じること』と何度も言ってきた。それまでは全部空振りを取ってやろうというタイプだった」

 エースが努力を重ね、心身ともに成長してきた姿を、太田監督は間近で見てきた。大きな可能性を秘めた小さな左腕を中心に、秋田商が飛躍を狙う。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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