【高校野球】9年ぶりの悲願へ 早実・和泉監督に相次ぐ“因縁対決”

早大時代、和泉監督は捕手で佐々木監督は投手

――早稲田出身の監督対決。大学の色は出ていましたか

「九国のチームカラーは派手なガッツポーズもなく、喜怒哀楽を全面に出す選手も少なく、何か冷静に試合の展開を読みながら力みなくプレーをしていたように感じました。質素剛健という言葉が早稲田の部訓にあります。そういった意味では、早実も九州国際大付属も清宮くん、山本武白志くんといったスター選手がいるにも関わらず、選手に派手さが感じられませんでした。指揮官の色が出ていました。大学時代に同じような思想、教育を受けた2人の名将が、卒業後に歩んで来られた人生経験から自身の哲学を込めたチームづくりをなされてきたのだなと感じました」

――やはり同じ門をくぐった監督同士だとやりづらいですか?

「同じ大学野球部出身の監督同士というのは、そこまでの意識はしないと思います。ですが、野球を含めた色々な相談を先輩にはするものです。そのようなアドバイスを参考に今の和泉さんがあるかもしれないので、そのようなやり取りを思い出しながら試合をしていたのではと思います。

 私自身も、現在、松商学園の監督をしている足立監督は大学の同期で、同じ時代にプリンスホテルの監督をしていました。対戦もしましたが、性格の読み合いで非常にやりにくかったですし、お互い負けられないという気持ちが他のチームと対戦する以上にありました」

――早実の準決勝の相手は仙台育英(宮城)になりますね。

「和泉監督においては、次の準決勝でまたまた早稲田大学の先輩である仙台育英の佐々木順一朗監督との対戦が控えています。清宮フィーバーの対応も大変でしょうが、先輩との対決ばかりで大変でしょう。

 和泉さんと佐々木さんは大学時代、重なっている時期があります。和泉さんは捕手。佐々木さんは投手。ブルペンでボールを投げ、受けた間柄でもあるそうです。監督になってからは練習試合などでゲームもされているでしょうし、お互い負けられないと思われるでしょうね。そういう舞台裏も楽しみです」

小島啓民 プロフィール

kojima
1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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