パ投手部門で驚異の5冠 今季の「投手・大谷」に見る3つの成長
平均球速は得点圏で2キロアップ、終盤でも剛速球を連発
○高速クイック
昨季までのクイックモーションは平均1・28秒だったが、セットポジションで構えたグラブの位置を低くするなど、無駄な動きを省いた。1・1秒ならある程度、捕手の送球がそれてもアウトになると言われているが、今季は1・1秒も切るようになった。大谷本人も開幕前に、「クイックが昨年と一番違うところ」と自信を見せている。
○ギアチェンジ
以前、大谷は「追い込む時、1球で抑えたい時は(球速を)抑える。ピンチの時は多少アバウトでも力強いボールを投げる」と明かしている。18日のロッテ戦で、得点圏に走者がいない時の直球の平均球速は152キロだったが、得点圏では154キロと2キロアップ。下位打線や走者なしでは140キロ台後半の直球でカウントを整えることもあるが、同試合の8回2死一、二塁のピンチでは3番・清田に155キロ、156キロと試合終盤にも関わらず、剛速球を連発した。
12勝目を挙げた18日の試合後。大谷には厳しい姿勢で臨む栗山監督は、「まだまだ全然 。去年と違ってない。こっちは心配で仕方ない」と辛口評価した。いまだに「エース」と呼ぶことは決してないが、「投手・大谷」はどこまで数字を伸ばすのか――。高卒3年目の21歳。末恐ろしさは増す一方だ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count