手術を受けて今季絶望のソフトバンク松坂 完全復活への注意点とは?
リハビリで重要なことは? 登板後にすぐ炎症するリスクも
「重症度については、球団発表による情報だけでは分かりません。ポイントは、関節唇の損傷がどの程度か。それにより、復帰スピード、復帰後のパフォーマンスが左右されると思います。肩は、非常に不安定な関節です。簡単に言えば、肩甲骨と鎖骨で作った屋根の下に腕の骨がぶら下がっているだけの状態です。
今回、松坂選手が手術したのは関節唇・関節包・腱板・筋肉などで、肩の不安定性をカバーしている重要な部位です。中でも関節唇は、肩の安定性に大きく寄与しています。肩の安定性が保たれなければ、再発や悪化という悪循環になりかねません。そして、多くのプロ野球選手が関節唇損傷に苦しめられているのも事実です」
新盛院長はこう分析している。
今季、補強の目玉としてソフトバンクに加入した松坂は、故障でチームに貢献できていない状況だが、焦りは禁物だという。
「筋肉強化や可動域訓練などのリハビリは勿論ですが、投球フォームや股関節の動きなどの改善も必要になると思います。しかし、手術後に焦ってリハビリに取り組むと、その後に炎症しやすい肩になる可能性があります。
ピッチングはできるけれど、毎回、登板後に痛みが残るというケースも起こり得ます。まずは、数か月は局所安静することが重要です。手術した組織の回復を図ることになると思います」
新盛院長はこう語った。手術後のリハビリ次第では登板後、肩がすぐ炎症するリスクも存在するという。ゆっくりと、着実にリハビリを進めることが肝要。平成の怪物の完全復活を期待したい。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count
新盛淳司
(しんもり・じゅんじ)入船しんもり鍼灸整骨院、今川しんもり整骨院、クローバー鍼灸整骨院代表。柔道整復師、鍼灸師の資格を持ち、関節ニュートラル整体普及協会会員。デフ(ろう者)フットサル女子日本代表トレーナー。サッカー元日本代表MF中村俊輔をセルティック時代から支える。ブリオベッカ浦安チーフトレーナーも務める。