【小島啓民の目】ネット裏から見えた高校日本代表の課題 世界を勝ち抜く選手になるために

U18侍ジャパンが勝つための助言、下半身主導型が飛躍へのカギ

 この大会をネット裏から見ていて、日本代表も含めて、当然ながら全体的にまだ若い選手だなという印象を受けます。個々の能力は高いですが、メンタル、判断力、堅実さなどが不足しています。日本チーム以外で、自滅する試合を何試合も見ました。更に上の年齢の大会では、ミスを期待して戦うことはほぼ考えられません。プレーを見ても、対下半身を中心とした安定感が不足しています。

 これからもうひとつ上のレベルで戦っていくには、バットを振った後の姿勢やゴロを捕球して強い球を送球する際など、まだ自分の体を十分に上手く使いこなせていない印象があるので、そういうところがポイントになると思います。

 この大会に出場してきた選手は、今後各国を代表する選手となり、メジャーや各国のプロチームで活躍をする選手になることは間違いありません。

 そのレベルで更にトップになるための課題は、この辺りになるのでしょうか。よく技術は「下から、下から」と言われます。ボールを捕球する際にも低い姿勢で、グラブの使い方は、下から上にの方向へ、バッティングを行う時も下半身の始動からといった類のように。トップチームレベルの選手の下半身の強さは、本当に凄いものがあります。下半身の使い方の習得と強化が確実に技術のレベルアップに繋がります。

 今回の日本チームの選手も、他国の選手のプレーを間近で見て、身体能力の高さを肌で感じていることでしょう。ぜひその感想を聞いて見たいものです。

 これから予選1次ラウンドから2次ラウンドへと移行していきます。毎日が大変な、重要な試合です。疲労をいかに除去し、ベストプレーが出来るかが勝負でしょう。日本チームの活躍を大いに期待しています。

【了】

小島啓民●文 text by Hirotami Kojima

小島啓民 プロフィール

kojima
1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。

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