【U-18野球W杯】初の世界一逃すも力証明したU18日本 “恐怖の9番打者”が刻んだ足跡
「何かが足りない」から出発、1年の歳月を経て世界の舞台にたどり着いた舩曳
昨秋の第45回明治神宮野球大会準々決勝、今大会でチームメイトとなった佐藤らを擁する仙台育英の前に敗退。その試合で「何かが足りない」と感じたという舩曳はそこから打撃スタイルを変えた。
「ベースとバッターボックスのギリギリに立つようにした。内角のいい球は打てないので、その分、外角に手が届くような形です」
ホームベース寄りに立つことで内角への対応は難しくなるが、その結果、死球も増え、武器である俊足を活かす場面も増えた。自身の特長を自覚したスタイルの変化だった。
今大会も成長の跡を存分に見せ、チームに貢献してきた舩曳は「いずれはプロでと考えているが、今の力では即戦力で出られない。大学卒業時に(志望届を)出すと思う」と話す。今後さらに技術を磨き、いずれはプロの世界へ。「いい選手はファウルにせず、1球で仕留めることが出来る。そういうところが力があると思った。大学、社会人でそういう力を身につけていきたい」と、今大会の経験を糧にステップアップを目指す。
「ノーヒットでも出るというのがチームにとって貢献しているということ」と自身のプレースタイルを強調しながらも、憧れの選手は糸井嘉男(オリックス)という舩曳。そんな18歳を筆頭に、今大会では多くの日本選手が世界と対等以上に渡り合い、存分に実力を発揮した。最後に競り負け、この世代の世界一は逃してしまったが、彼らの挑戦は始まったばかり。今後、さらなる進化を遂げて世界の舞台に戻ってくることを期待したい。
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富樫重太●文 text by Shigeta Togashi