阪神優勝へ鍵握る1人　岩田に必要なのは「走者」ではなく「打者」との対決

岩田が実力を発揮すれば、優勝への「近道になる」

「極端な話をすれば、スチールされたところで、次（の打者）を抑えたらいいことなんです。そこに意識を持っていけるかどうかですよ。クイックのスピードをちょっとだけ諦めて、バッターを封じ込めることに全力を注げるようにした方がいいと思うんですよ」

　岩田は走者を意識するあまり投球の質が落ちていると同氏は指摘する。「そっち（クイック）ばかりに気を取られてしまうから、疎かになるんですよね。集中できない。集中して投げるか、そうでないかは大きな違いですよ」。たとえ走られても、バッターを抑えれば点は取られない。そこをどう割り切れるか。打者との対戦に神経を向けられるかが、ポイントとなるという。

「極論を言うと、走者を10人出して、10回スチールされても、0点ならいいわけですよ。もちろん、実際には10人出して10回スチールされたら、0点ってわけにはいかないでしょうけど。でも、極端な話はそういうことなんです。盗塁されても、0点、1点に抑えれば、味方の点数より抑えれば、いいわけですよ。

　特にシーズン終盤に差し掛かってきて、今はプロセスよりも結果が大事です。首位争いしてるんですから。だから、結果を出す投球をするには、考えるところはそこではないんのではないかなと思います。クイックを気にするあまり、棒球になって打たれていたら、それはちょっと違うという話ですよ。周りも納得しないですよ。見てる人は分かりますからね」

　岩田が本来の実力を発揮し、役割を果たせば、阪神はリーグ制覇にさらに近づく。野口氏も「だいぶ（優勝への）近道になると思いますよ」と元同僚に期待する。この先、岩田が阪神のキーマンの1人となることは間違いなさそうだ。

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フルカウント編集部●文 text by Full-Count