山崎康、松井裕、大瀬良…優れた投手は先発で使うべきか、抑えで使うべきか

優秀な投手を抑えにするメリットとは

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投手の貢献を「質」で計る レバレッジ・インデックスでの評価

 先に述べたように、優秀な投手をあえて抑えにするメリットは、重要な局面で投入できることである。ではいったいどのような局面が「重要な局面」なのか。

 レバレッジ(てこ)・インデックス(指標)は、その試合中の局面の重要度を数値で表す指標だ。重要度は「イニング」「点差」「走者」「アウトカウント」などから計算する「その時点で見込まれる勝利の確率」から算出される。例えば、試合開始時点では50%、7回で2点リードしていれば80%、9回裏の攻撃で3点ビハインドなら5%、といった具合だ。(厳密な数字は、複雑な数学的計算によって求められる)

 レバレッジ・インデックスを決めるのは、その時点で勝率が大きく変動する見込みが高いかどうかだ。イニングが多く残されている序盤ではホームラン1本は試合を決定づけるものではない。しかし接戦の終盤であれば、ヒットやホームランが試合を決定づける可能性が高くなる。

 そんな見方で、勝率が変動しやすい局面を重要な局面として数値化するのがレバレッジ・インデックスだ。試合を左右する局面はだいたい緊迫するもので、それは直観的に伝わってくるものではあるが、それを客観的に数値化したのがレバレッジ・インデックスだと考えてみてほしい。

 そして結論をいうと、一般的に抑えが起用される9回の1点差や2点差の場面では、レバレッジ・インデックスの値が試合の序盤と比べて非常に高くなる。つまりそこでは1つの三振を獲る、ホームランを防ぐ、といったことの価値が極めて高くなる。優秀な投手を抑えで起用すると働きの質が増幅されるということが数理的に確認できるのだ。

 このような分析からは、優秀な投手をあえて抑えに回すという起用法には確かに理論的な根拠があるといえそうだ。

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