ヤンキース、新時代の幕開けか 「ペティット彷彿させる」21歳に高まる期待
ジラルディ監督「ジーターやリベラが成し遂げたことを思い出させる」
41試合に出場し、10本塁打、29打点。攻守に粗さも見られるが、22日のブルージェイズ戦では決勝3ランをたたき込んでチームの窮地を救うなど勝負強さが際立つ。キャッシュマンGMも「重圧でパニックに陥る姿が想像できない」と惚れ込む精神面の強さが売りだ。
辛辣で知られるニューヨークのメディアにのまれることなく、自然体を貫けているのも大物の証か。主砲のアレックス・ロドリゲスに一時の勢いが無くなり、キャリア晩年のカルロス・ベルトランに頼らざるを得ない状況だけに、22歳の左打者の爆発力に期待したいところだ。
先発陣に故障者が相次ぎ、打線も好不調の波が激しく、不安要素は多い。だが、首脳陣は1996年にデレク・ジーター、マリアーノ・リベラといった若手が出現し、ワールドシリーズを制覇したシーズンの再現を期待する。
ジラルディ監督は「ジーターやリベラが96年に成し遂げたことを思い出させる。彼ら(セベリーノとバードは)同じくらいインパクトのある活躍をしている」。常勝チームの礎となったシーズンと比較し、ダイナスティの再現を期待するのは早すぎるかもしれない。それでも、シーズン佳境に入っても空席が目立つヤンキースタジアムに再び活気を取り戻すには若手の台頭が不可欠。ピンストライプのユニホームを着て臨む短期決戦は、シーズンとは比べものにならない程の重圧を感じることだろう。
そんな中から第2のジーター、リベラが現れるのか。挑戦者として臨む名門球団のポストシーズンに注目したい。
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伊武弘多●文 text by kouta Ibu