初登板のイチローに敵地で“リスペクト” 「フィラデルフィアで最高の瞬間」
敵地ファンからカーテンコール、「フィラデルフィアで最高の瞬間」
大量得点差のついた試合で、野手がマウンドに上がることはメジャーでは珍しくない。この日のマーリンズは2-6と微妙な点差だったが、どちらもすでにプレーオフ進出の望みが断たれた消化試合だった。ただ、野手の登板で周囲からここまで真剣な視線が注がれる光景は珍しいと言えるかもしれない。
5人目の打者を外野フライに仕留めたイチローがダッグアウトに引き上げると、敵地シチズンズ・バンク・パークの観衆から大きな拍手が巻き起こった。
「フィリーズファンから素晴らしいカーテンコールを受けています。そして、チームメートからも。15年間待ちました。ロビー活動を続けて、ついに彼は投げました。フィラデルフィアで最高の瞬間です」
実況は、その光景を万感の様子で伝えた。満面の笑みで出迎えた同僚とハイタッチしながらも、ダッグアウトに戻ったイチローはピッチングに納得いかない様子だった。だが、念願の舞台で喝采を浴びたレジェンドの目は野球少年のような清々しい充実感に満ちていた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count