「子供たちに伝えたい」―50歳まで現役・山本昌はなぜ怪我をしなかったのか
「プールの授業が7月にあるので」体育の成績はいつも「3」だった
マウンドを降りた投手が、肩や肘に氷を当てて、動きにくそうにしている様子は、最近では見慣れた光景となった。だが、山本昌がプロ入りした時点では、常識ではなかった。
「高校時代にはアイシングなんてなかったから。逆に『冷やすからプールに入るな』と言われていた。高校時代なんていつも体育(の成績)は『3』でした。『大会前だからプールは(入らなくて)いいですか? 大会近いんで』と(先生に)言っていた。7月の授業はプールなので、いつも入らないので『3』とかにしかならなかったんです」
プロ入り後、しばらくしてからアイシングは常識となったが、「怪我をしない投げ方」を知る左腕には必要なかったようだ。
「ああいう風にロボットみたいなのになったことないんですよ。(アイシングは)要らないと言ってました。ウチのチームでは、僕はやらなかったんです。他のピッチャーはみんなやってましたけど。でも、それはそれでいいんじゃないですか。人に強要するものでもないので」
それでも、肩や肘の怪我とは無縁だった32年間の野球人生。抱負な経験の中には、プロ野球選手として必要なものが詰まっている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count