亡き恩師との約束― 日ハム戦力外の甲子園Vスラッガーがトライアウトへ

「独立リーグも海外も考えてない。プロ野球でダメだったら…」

――戦力外通告でリセットしてプレースタイルを再認識したところはあるか?

「悩みましたけどね。もちろんミート力も大事なこと。(代打で活躍する)矢野謙次さんや二岡智宏さんもミート力が高い。代打と考えた時に、ミート力も大事。(9月に)矢野さんは芯に当たれば打球は飛ぶと言っていたし、実際に打撃練習を見ていても、ガンと振らずに芯に当てる打撃を繰り返している。

 二岡さんもガンと振らずに右翼へのライナーが多かった。そこは求めて行きつつ、自分はパワーを磨いていきたい。なかなか本塁打は打てるものではないですけど、プロのボールに力負けしないように。今は打撃練習とウエートトレーニングを重点においてやっています」

――筋力トレーニング?

「僕はウエートでパワーを付けたので。高校時代はチーム方針で鍛えていたんですけど、高校1年生の時は体がヒョロヒョロで、ベンチプレスも45キロがマックス。上甲監督からも『情けないな』と言われ続けて…。それが、高校3年生の時に105キロまで上がったんです。

 そういう意味では自分は体の力が付いて、打球が飛ぶようになったと思っている。あれから10年以上経ちましたけど、もう1度、原点に返ってパワーを。ただ、技術は今年以上にやらないと、たとえ他球団が取ってくれたとしても来年も厳しくなる。同じようにやってはいけない」

――来春に3歳の双子の女児が幼稚園に進学する。10月1日が愛娘たちの誕生日だった。

「こればかりは仕方ないこと。覚悟はしてましたし、たまたま誕生日だっただけ。幼稚園の願書も父親の職業欄になんて書いたらいいのか。11月30日は日本ハムでいいみたいですけど。クビになると、いろんな面で大変ですね」

――仮にトライアウトでも声がかからなかったら?

「独立リーグも海外も考えてないです。プロ野球でダメだったら、野球を辞めようと思っています。子どももいるので、家も買わないと。このままでは家のローンも組めないですよね? 手に職ですか? 自分持ってないんですよ。済美もスポーツ科でしたから。『なにか資格とっておけば…』とつくづく思いますね。(他球団へいけるかは)あとは縁ですね。トライアウトがあるので、先があると思って頑張ります」

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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