来季大きく変貌へ― 中日、稀に見る大物の引退&退団ラッシュ
川上は退団、朝倉は引退、来季求められる若手の自覚
〇川上憲伸(退団)
プロ18年目。NPB通算275試合に登板。117勝76敗1セーブ1ホールド、防御率3.24。MLB通算50試合に登板。8勝22敗1セーブ、防御率4.32。
ルーキーイヤーの98年に14勝6敗、防御率2.57を挙げ、巨人・高橋由伸との熾烈な争いを制して新人王を受賞。04年には17勝でMVP、最多勝、沢村賞に輝き、その後もカットボールを武器に4年連続2桁勝利とエースにふさわしい成績を残した。
09年にFAで米大リーグに挑戦。ブレーブスと3年契約を結んだが、右肩の違和感などで通算8勝にとどまった。12年に中日に復帰し、昨季は球団最多となる7度目の開幕投手を務めた。今季は9月に右肩を手術するなど1軍登板なしに終わったが、現役続行への強い意欲を持ち、退団を表明している。
〇朝倉健太(引退)
プロ16年目。通算236試合に登板。65勝70敗1セーブ2ホールド、防御率4.11。
プロ初勝利を挙げた02年に11勝11敗。落合博満監督時代の06年に13勝、07年に12勝とローテーション投手として優勝争いを支え、特に地方球場での登板に強さを発揮。09年には血行障害を克服して4度目の2桁勝利をクリアした。
以降はリリーフでの起用も試されたが、右肘の手術や度重なる故障の影響でかつては150キロ前後を計測していた直球の球威が戻らず、不本意はシーズンが続いた。それでも14年に4年ぶりの復活勝利を挙げた。
〇山内壮馬(戦力外)
プロ8年目。通算56試合に登板。17勝15敗1ホールド、防御率3.02。
11年に降雨コールドによる珍しい形でプロ初完封勝利を記録するなど、3勝をマーク。飛躍のきっかけをつかむと、手元で微妙に変化する独特のボールでゴロの山を築き、翌年には10勝7敗、防御率2.43とキャリアハイの成績を残した。
だが、2勝4敗、防御率5.54だった翌13年以降は不振とけがに見舞われ、今季は1軍登板がなく、自由契約となった。まだ30歳と年齢は若いだけに、低めを突く丁寧な投球スタイルが戻れば、再び数字を残す可能性はある。
長年に渡り、中日のみならず球界を引っ張ってきたベテラン選手たちが退団し、在籍3年間で通算打率3割1分6厘を残しているエクトル・ルナの残留も微妙な状況だ。来季は大きくチームの色が変わることは間違いない。投手では大野雄大、若松駿太、野手では平田良介、亀澤恭平といった、今季一定の成果を収めた若手や中堅の選手には来季以降、チームの柱となる自覚を持つことが求められる。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count