「それでもやることは変わらない」―突然の自由契約、巨人1年目左腕の挑戦
同期入団の選手たちが1年目から活躍、はやる気持ちを押し殺す日々
同期入団には高卒ながらプロ1号を放った岡本和真、中継ぎでシーズンのほとんどを1軍で戦った同じ大卒の戸根千明、初先発から開幕5連勝と注目を浴びた高木勇人らがいる。
各選手とも1軍の戦力になっており、田中自身、「焦りがないわけではないですが」と早く治そうという思いが状態を左右していた。自分に自信があってもケガが治らなくては話にならない。はやる気持ちを押し殺す毎日だった。
シーズンが終わり、秋季練習が始まった。田中は開幕時は無理だとしても来年の初登板へ向け、2軍練習に参加していた。そんな時、球団から自由契約が発表された。背景には、状態がよくなったり、悪くなったりと不安定だったため、焦らず、完治だけに集中させようという球団側の配慮があったようだ。
これまでも脇谷亮太や野間口貴彦ら手術をした選手には復帰まで時間が必要なため、育成契約としてきた。実戦復帰の目処が立てば、すぐに支配下登録された。また、最近ではどの球団でも主流になってきたが、支配下登録の枠を空けることで他球団から補強や戦力外選手の獲得、育成からの昇格、外国人獲得など、1人でも多く戦力を取れるようにするというチーム戦略もある。
チームに所属している以上は仕方がないことなのかもしれない。それでも、田中は苦しい顔を見せない。「今はだいぶ状態もよく投げられるようになっています。(契約形態が異なっても)それでも僕はやることは変わらないです。回復して1軍で投げられるように頑張ります」。ブルペン投球も重ねており、早ければ来季中の2軍戦登板や支配下復帰もある得る。将来の有望のサウスポーの今後を見守りたい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count