野球選手の能力は全て数値化が可能に? 敏腕代理人が用いる「Pファクター」
精神面、練習態度なども数値化、「こういった要素は軽視できない」
セイバーメトリクス全盛の今、ピッチング、バッティング、守備、走塁など、試合中にグランドで披露されるパフォーマンスは、ほぼ全てが数値化され、選手の価値が決められる。だが、選手も人間だ。どんなモットーを持って野球選手という職業に就いているのか、真面目に練習をするのか、球場には遅れず早くやってくるのか、プレッシャーの中でも踏ん張れる精神力はあるのか、などなど、試合中の成績だけでは図れない部分も多々ある。
自らマイナーリーガーだったボラス氏は「こういった要素は軽視できない」と力説。
+Psychological factor(精神面での要素)
+Practice factor(練習面での要素)
+Performance in pressure factor(プレッシャー下でのパフォーマンス要素)
以上の頭文字「P」を取った「Pファクター」を自らの持つ査定システムに加えているという。さらに興味深いのは、この「Pファクター」を何らかの形で数値化して、セイバーメトリクスと併用しているそうだ。
目に見えない要素をデータとして数値化することは難しいが、「Pファクター」を数値化することができるのであれば、例えば、選手の人柄、怪我や痛みに対する耐性といった要素まで、数値化できる日がやってくるのも近いのかもしれない。
テクノロジーの進化に伴う新時代の到来に驚嘆しつつも、少しずつ野球から人間的要素が減っていく事実に複雑な思いが生まれた。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。