パ球団の若手起用で明暗? ホークス&日ハム躍進の裏に優れた野手育成戦略
日本ハムは25歳以下に49% 「打席の割り当て」から見えてくる球団の編成方針
2015シーズンは、セ・リーグは史上稀に見る大混戦の末、ヤクルトが14年ぶりの優勝を成し遂げた。一方のパ・リーグはソフトバンクが中盤以降は独走態勢を築き連覇を果たした。
両チームのペナントレース運びは対照的であったものの、自前で育成した野手が打線の中核を担い、チームを牽引した点は共通している。ヤクルトとソフトバンクが優勝に至った背景には優秀な野手を次々に輩出する、両チームの優れた野手育成戦略がありそうだ。
そこで「どの年齢の選手にどれだけの打席を割り当てたか」をベースに、野手編成の面から各球団の野手育成戦略や今後の見通し、課題などを推察してみたい。今回はまずパ・リーグから見ていく。
図は「各球団が一軍と二軍の試合において、どの年齢の選手にどれだけの打席を割り当てたか」を示したものだ。
各球団の野手編成を一通り眺めると、日本ハムのグラフが異質な形となっていることがわかる。一軍・二軍共に左側(若い方)に大きく偏っており、チームの方針として明確に若い選手を積極的に起用しているようだ。
他球団を見ると二軍(オレンジ色のグラフ)の年齢帯のピークは20代中盤に存在しているのに対し、日本ハム二軍の野手編成を見ると20歳頃が出場のピークとなっており、20代後半以降の野手はほぼ打席が与えられていない。入団したての時期から二軍の実戦で多く起用することで、戦力としてのポテンシャルの見極めを迅速に行い、成長が見込めないと判断された場合、20代後半までには多くの選手が退団を命じられるというシビアな戦略がうかがえる。
2015年の日本ハムの一軍は若手の高卒野手がレギュラーの多くを占めている印象は強いが、実にほぼ半数の打席が25歳以下の選手に割り当てられている。野手の一般的な成長曲線からすると彼らは成績の更なる上積みが期待できる上に、何より衰えが来る年齢を迎えるのは遥かに先である。
もし戦力化できた場合長期にわたって計算できるのは、編成面でチームにとって大きな魅力である。もちろん戦力化にこぎつけられる選手の割合があまりに低ければ効果を生む策とは言えないが、これだけの打席を若手に与えながら一定の得点力と2位という順位を実現しており、戦略は成功していると言えそうだ。