【小島啓民の目】アマ投手に伝えたい ひと冬越えたときに差が出るオフの取り組みとは?
日本の投手に対する指導理論は世界トップクラス
良い投手とは、打者を打ち取る投手のことを指し、スピードは単なる必要条件であるにすぎません。ただし、他の投手が投げることができない160kmのスピードレンジを持つ日本ハム・大谷翔平投手は別格ですが……。
野球の世界で投手に対する格言として、「困ったらアウトコース低め」という言葉があります。打者から最も距離が離れているアウトコース低めは、打者が最もミスを冒しやすい、更に長打になりにくいということから、そのような言葉が生まれています。
3位に終わってしまいましたが、「プレミア12」を観ていると、侍ジャパンの投手力は群を抜いていたように思えます。スピードガンでは、他国の選手が速い表示を叩き出しますが、コントロールの差は歴然です。他国の投手力が今一つということもあり、侍ジャパンの打線が好調を維持し、クローズアップされていますが、昔から日本チームは圧倒的な投手力で世界と戦ってきました。
それを支えてきたのも、「困ったらアウトコース低め」を忠実に守ってきた指導、育成があったからだと私は感じています。日本の投手力は、世界一です。特にコントロールという点では、他国を大きく引き離しています。ということは、日本の投手に対する指導理論は、世界トップクラスであることの裏返しかもしれませんね。
オフシーズンは、色々なことを試すことができる唯一の時期です。プロ選手は体を休める時期ですが、アマ選手にとっては、体を作り、さらに技術を伸ばす大切な時期であると認識してほしいですね。
【了】
小島啓民●文 text by Hirotami Kojima
小島啓民 プロフィール
1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。