打てる捕手の台頭が嬉しい悩みに? 今年の各球団捕手を振り返る【パ・リーグ編】
ロッテの21歳は「よく頑張った」、西武の捕手起用は「一番悩まされる」
「もうちょっと近藤がやるのかなと思ったのですが、大野が戻ってきたらそうなりましたね。今の日本ハムでどうやったら勝っていけるかというと、キャッチャーを含めた守り(が重要)ですから。そう考えると大野や市川に頼らざるをえないですよね。近藤がダメなわけじゃない。守りは2人の方が上にいるので。
近藤だって磨けば光る素材だと思うんです。だけど、現時点ではそういうことなので、そういう起用方法になったのかなと。もちろん、捕手ができれば、 DHとして外国人を5番において近藤を6番に、ということもできるんでしょうけどね」
守備面では経験豊富な大野らに劣るとはいえ、リーグ3位の打率を残した近藤のバッティングは最大の魅力。今後、首脳陣がどのように育成していくかによって、未来の正捕手は変化していきそうだ。
3位のロッテに関して、野口氏は「田村はよく頑張った方だと思うんですよ。だけど、やっぱりまだまだ伸びていかなきゃいけない選手だと思いますね。ただ伸びしろは感じるので、このまま(監督の)伊東さんについて順調に育っていってほしいですね」と高卒3年目の21歳に期待を込めた。
「まだ若いので、伊東さんからしても、『そこまで多くを求めるのは酷かな』と思っている気がするんです。ただ、今年これだけ(117試合出場)使われていい経験をしたので、来年からはそうはいかないよ、ということですね。すごい経験ですよ。(伊東さんに監督が代わったのも)彼にとってはベストなタイミングでした。バッティングは、守りで周りを安心させられるようになれば、その後にいくらでも練習できますから。まずはそこからですよ」
高校時代には打撃に定評のあった田村だが、今季は打率.170と低迷した。ただ、捕手というポジションはまずは守りが肝心であると野口氏は強調。土台固めを終えてからの打力向上を勧めた。
4位の西武は今季、正捕手・炭谷とバッティングが売りの19歳・森の起用法に注目が集まった。
「(炭谷残留で起用法は)来季も同じ流れになるでしょう。ただ、森に(将来的には)キャッチャーをやらせると言っているみたいですね。森が成長しないことにはそれもできない話なので。オープン戦など見ていると『まだしんどいな』というところなのでね。そして、捕手として試合に出場できていないのが痛いですよね」
森は今季、138試合で打率.287、本塁打17と高卒2年目とは思えない打力を見せつけたが、野口氏は「彼をキャッチャーとして育てるのであれば、(昼間は2軍、夜は1軍の試合に出場する)親子ゲームにどんどん行かせるべき。それか鬼になって2軍に落とすべき」と指摘。一方で「ただ、チームとして勝つならば、今年の起用法は仕方ないですね。中村、メヒアのあとは彼しか打てないですからね」とDHでの出場が多くなったチーム事情もやむ得なしとした。
「(捕手というポジションは)各チーム、各監督が頭を悩ませるところではあると思いますが、一番悩まされるのは田辺監督でしょう」
守備力にウエートが置かれる捕手というポジションに打力が高い選手を当てはめることは、他チームに対して大きなアドバンテージとなる。それだけに、森の起用法をどのように考えるのか。首脳陣の決断にも注目が集まりそうだ。
また、FA権を行使せず残留を決めた炭谷に関しては「(正捕手として)大丈夫だと思ったんじゃないですか。バッティングは調子の波が『上は小さく、下が大きく』ですけど、安定した守りがある。炭谷がしっかり守れているおかげで、もう1枚ピッチャーが出てきてくれると、西武も上にいくと思うので。守りに関してはそんなに注文するところはないんじゃないですかね」と評価した。