打てる捕手の台頭が嬉しい悩みに? 今年の各球団捕手を振り返る【パ・リーグ編】
昨年2位も今季下位に沈んだオリックスの伊藤は「天国から地獄」
5位に沈んだオリックスの正捕手・伊藤光については、野口氏は「天国から地獄ですよね」と振り返った。過去2年連続で137試合に出場し、昨年はベストナイン、ゴールデングラブ賞も受賞。リーグNo.1捕手の称号を手にしたが、今季はチームが低迷。不本意なシーズンに終わってしまった。
「『こんなはずじゃない、こんなはずじゃない』と思いながらやってきたら、いつの間にか悪い方向へ進んでいって、いい方向に転ばなかったというところでしょうね。抑えても勝てない、打っても勝てない、全てに悪循環でした」
昨年はチームも2位に躍進。ソフトバンクとの熾烈な優勝争いを演じ、今季は優勝候補としても名前が挙がるほどだった。それだけに、序盤からチーム成績が伴わないことは26歳の正捕手にとって焦りにつながったと分析する。
「若いキャッチャーは、勝つことが一番の薬になる。(今年のオリックスは)ピッチャーで必ず誰かがいなかったですよね。それも可哀想ではあるんです。中継ぎが1枚、2枚いなかったり、セットアッパーとクローザーが同時にいなかった時とかもあったので」
昨季、セットアッパーとして防御率1.09を記録した佐藤達が今季は防御率3.22と成績を落とした。さらに、2年連続30セーブ以上を挙げていたクローザー・平野佳も今季は31試合の登板にとどまり、12セーブ、防御率4.06。こうした不運もあり「彼もけっこう真面目な性格なのか、背負い込みすぎちゃいましたね」と指摘した。
最下位の楽天については、正捕手・嶋の起用法について「全試合スタメンで出るべき選手なんですよ。でも、たまにスタメンを外されますよね。なんでかなぁと思うんですよね。嶋なんかはもっと成績が目立ってきてくれないといけないと思うんですよね」と疑問を投げかけた。
侍ジャパンでも正捕手を務めるなど、12球団屈指の実力を持ちながら、今季は117試合の出場にとどまった30歳。「彼は『この選手を外したらチームとして成り立っていかない』というところまで来ていると思うんです」。すでに球団の大黒柱となっているだけに、フルに出場することこそがチームの安定感にもつながると提言した。
野口氏は「スタートラインが下の方からだった田村が若干目立った気はします」としながらも「パ・リーグは個人的に『よく頑張った』というキャッチャーは見当たりませんでした」と総括。各球団の正捕手が一定の実績を持つだけに、安定期に入っていると言えるのかもしれない。
一方で、来季以降は近藤、森のような抜群の打力を持つ若手捕手の起用方法も気になるところ。来季も各球団の扇の要の活躍、そして首脳陣の将来を見据えた起用法に注目が集まりそうだ。
フルカウント編集部●文 text by Full-Count