【小島啓民の目】技術同様に向上が必要なメンタルトレ 一流を目指すアマ選手に必要なこと
日本の野球界にメンタルトレを持ち込んだのは野茂英雄?
最近では高校野球をはじめ、プロ・アマ問わず、メンタルトレーニングが普及。一定の効果を見せており、ルーティンの活用、メンタルトレーニングの重要性を一人一人が理解し始めている。メンタル面にスポットライトが当たることはスポーツ界にとっても非常にいい傾向にあると話すのは、アマチュア野球を指導し、何度も国際大会を経験している小島啓民氏。小島氏は、メンタルの強さは先を読む力につながると言う。一流の選手になるためにいかに大切なのかを説明してもらった。
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私は日本の野球界にメンタルトレーニングを導入した先駆者は、ドジャースに在籍していた野茂選手であると確信しています。そのように感じる出来事がありました。侍ジャパンの小久保監督や私もメンバーの一人であったバルセロナ五輪の野球日本代表チームの山中正竹監督に、ソウル五輪日本代表でもあった野茂選手が「何かのお役に立てるのであれば」と当時大リーグで学んでいたメンタルトレーニング本の英文原本のコピーを送ってくれました。
この本の英文タイトルは、「THE MENTAL GAME OF BASEBALL」というもので、著者は、ハーベーイ・A・ドルフマンとカール・キュール。その後、日本では、白石豊さんが翻訳され、「野球のメンタルトレーニング」として販売されています。ヤンキースに移籍した松井選手も読破されたと聞いております。
心が強くなければ選手は大成しない。技術と同じくらいの心理トレーニングが必要であることを同書は説いてます。すでにこの時から定着していたメジャーリーグのメンタルトレーニングを野茂選手が運んできてくれました。目標に向かうまでの気持ち、自信を身につける方法など、たくさん明記されていました。
バルセロナ五輪が1992年ですから、その当時は、メンタルは厳しい練習で鍛えられるものと誰もが思っていた時代です。そういった意味では、この分野は新鮮でしたが、正直、理解するまでには至っていなかったので、もう少し真剣に勉強をしていたら、もう少し良いパフォーマンスを発揮していたのかなと今さらながら考えています。
当時の指導方法では、メンタルトレーニングは上から下に押しつけるトップダウンによる要素しかありませんでした。その後、私は社会人の監督をした時、この本を再度見て、メンタルの専門家による講習を持ち、チームの強化につなげました。この本が私や選手、チームに与えた影響は非常に大きかったです。勝利や優勝というものに一丸となって向かっていくことができました。