栗原、坂口、久保…　再起を期す選手たちは新天地にハマるのか？

「金本さんが『打てない』と言った」久保のフォーク、体が万全なら…

　ヤクルトにとって、センターは補強ポイントだった。将来性を見れば高山かもしれないが、ピンポイントで強化するには、坂口はうってつけだったと言えそうだ。

「坂口がハマれば、相手投手が左でも出せます。左ピッチャーも苦にしないので。『1番・センター』不動でいいんじゃないですか。センターだけでなく、1番打者もいなかったので、ウィークポイントにハマりましたよ」

　野口氏はこう指摘した上で、同じ外野手で右打ちの大砲である鵜久森の獲得も理にかなっていると分析する。

「例えば鵜久森がファーストも練習して、ユーティリティー的に守れる場所が増えたりすればいいかなと。畠山を休ませようかという時に鵜久森がファーストをやるとか、坂口を休ませようかという時にセンターを雄平でライトを鵜久森にするとか。あとは、バレンティンが今年みたいに駄目だった時に穴を埋めてくれるとか。そういう感じになると思うので、鵜久森はお買い得だったと思います。

　ヤクルトがすぐに決めたのは大正解ですよ。レギュラーで出なくても、ベンチに置いておくだけでもいい。今年は右の代打は田中浩康くらいしかいなかったので、打つかもしれないけど、ヒットまででした。でも、長打が欲しい時の代打に鵜久森を出したら、相手の怖さは全然違う。神宮で鵜久森が打席に入れば期待感がありますよ。ヤクルトは控え層が薄いですから」

　今季はバレンティンを除くレギュラー野手陣がフルに働き、リーグ優勝をつかみとったヤクルトだが、アクシデントなどに備えて層が厚くなれば、連覇に大きく近づきそうだ。

　そして、復活が期待されるもう1人の実力者が、巨人を戦力外となった久保裕也投手だ。複数球団が興味を示した中、DeNAへの入団が決まった。

　野口氏は「股関節だとか色々と順番に痛めたようなので、問題はそこですよね。逆に言うと、それがなければ巨人も切らなかったのかなという気はします。ピッチャーの股関節は大事なので」と注釈をつけつつ「体さえ大丈夫ならば1番働くと思っています。ピッチャーでは久保、野手なら栗原。体さえ万全ならば絶対に働くであろう選手です」と期待を寄せた。

　DeNAは今季、先発投手陣が不安定で、ルーキー守護神・山崎康へとつなぐ救援陣の力不足にも苦しんだ。野口氏が「何でも任せられますから」と分析する久保が万全ならば大きな補強となる。ただ、最も力を発揮できるポジションはセットアッパーだという。

「後ろですね。セットアッパー、クローザー。彼のフォークは、あの（現阪神監督の）金本さんが『打てない』って言ったんだから。『あのフォークいいなぁ』と言っていた。狙わなければ打てないボールですけど、どういうタイミングで来るかわからない配球をするわけだから、厳しいですよ。

　久保は器用なので、なんでも出来る。球種も色々ある。必要ないから使わないだけで、大きく曲がるカーブも投げるますし、スライダーも3種類くらいあるといってプロの世界に入ってきた。怪我さえ治っていれば、かなりの戦力になります。100％万全で1イニングならば、球速も150キロ近く出るので」

　一度は屈辱を味わった選手たちが、新天地で再び輝くことはできるのか。復活のストーリーに多くのファンが期待している。

【了】

フルカウント編集部●文　text by Full-Count