ドミニカでも称賛の声、DeNA筒香が秘める確信「自分は全然遠回りしてない」
ドミニカではメジャー332発の名手も称賛、筒香自身が3、4年後の自分に期待すること
プロ5年目だった2014年シーズンは、打率3割、22本塁打、77打点、出塁率3割7分3厘の好成績を残した。それまでは“和製大砲”と期待されながらも結果が残せず、外野からは厳しい声も聞こえることも。だが、ぶれずに自分の道を信じ、トレーニングを続けたことで「(打席で体に)軸が1本通ってきたなって感じがしますね」と話す。
投球でも打撃でも、一流選手に共通することは「フォームの再現性が高い」ということだ。自分の思い通りのフォームを常に繰り返すことができるか。簡単なように聞こえるが、驚くほど難しい技術を体得するには、やはり体幹の強さがカギとなる。例えるなら、竹とんぼだろう。軸をぶらさずに回転させれば、竹とんぼは空高くはるか遠くまで飛んでいくが、軸の回転がぶれれば飛ぶことすらない。
「以前はスイングが全部バラバラだった。練習でもバラバラだったんですけど、やっぱり(体幹が)強くなってきて、思っている通りの同じスイングが繰り返しできるようになってきました」
主将を任された6年目の今季は、打率3割1分7厘、24本塁打、93打点、出塁率は実に4割をマークした。打席数は、昨季からおよそ100打席増えているのに対し、三振は100から98に減少。同時に、四球数は47から68に急増した。再現性の高いスイングが体になじんだ賜物だろう。
筒香が所属したレオネス・デル・エスコヒートのGMを務めるのは、メジャー通算332本塁打を記録したモイゼス・アルー氏だ。「数試合しか実際に打撃を見ていないが」と前置きしながらも、「しっかりと軸足に体重を残しながら、ボールを手元に呼び込むスイングができている。今後が楽しみな選手」と称賛している。
日本人の場合、打席でタイミングを取る時に、一度踏み込み足を高く上げる選手が多いが、筒香の場合はほとんどそれがない。打席では、初めからどっしりと構え、踏み込む足はわずかに浮く程度。軸足に体重を残しながら、手元で細かく変化する球に対応するシルエットは、日米両球界で活躍した、かつての松井秀喜を思わせるものがある。実際に、ファンも球界関係者たちも、筒香に対して期待しているのは、松井秀喜に並ぶ、あるいは超えるパワー打者に成長すること。だが、筒香自身が3、4年後の自分に期待することは「打点、打率をきっちり残せる選手」だという。