ドミニカでも称賛の声、DeNA筒香が秘める確信「自分は全然遠回りしてない」
ドミニカで際立った笑顔、「ホームランは自然に出るようになる感触がある」
「もっと打ち方がはまってきたら、ホームランは自然に出るようになる感触がある。無理にホームランを打ちにいくようなことは、今はないですね。もっと体が強くなって、ポンって何かがはまった時に、普通に打ってももっと(本塁打が)出るようになるって感覚がある。無理に来年からもっと狙っていきますってことはないです」
現在メジャー通算560本塁打、まだまだ記録を伸ばそうというアルバート・プホルス(エンゼルス)が、かつて「自分はホームランを狙って打ったことはない」と話していたことがある。「走者が塁にいる時は、単打でも二塁打でも、とにかく打点を挙げることしか考えていない。走者がいない時は、自分がどうやって出塁するか、ということだけ。ホームランはその結果生まれた産物でしかない」と持論を語ったが、筒香の本塁打に対する見解も、狙って打つものというより「二塁打の延長」という感覚の方が強いようだ。
長いシーズンを終え、秋季キャンプ、プレミア12に参加した後でのウインターリーグ参加には、当初DeNAも反対の立場を取っていたという。もちろん、チームとしては来季に向けてしっかり休んでもらった方がいい。だが、今後チームの主軸として末永い活躍を筒香に期待するのであれば、今回の参加許可は英断だったと言えるだろう。
メジャー経験を持つ投手たちのピッチングを打席で感じ、真剣勝負を楽しむ。「とにかく楽しい」と繰り返しながら笑顔を絶やさない筒香の目は、純粋に野球を楽しむドミニカの少年たちの目と同じように輝いて見えた。ともすると、好きで始めたはずの野球が、プロとして職業になった途端、試練の道でしかなくなってしまうこともある。だが、異国の地で野球の楽しさを再確認できた経験は、筒香が5年後、10年後によりスケールの大きな選手・人間に成長するための肥料になるに違いない。
2016年以降の筒香に期待がもてそうだ。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。