“好機”に食らいつき、剛球左腕獲得のヤンキース 一気に補強に動き出す?

強力救援トリオ形成は自然の流れか、ヤンキースが補強へ一気に動き出す?

 ここで好機に食らいついたのが、ヤンキースのキャッシュマンGMだった。電話会見で「数年前から獲得に興味を持っていた」と話した同GMは、4人の若手有望株をレッズへ送った。

 同地区ライバルのレッドソックスが積極的補強に乗り出していることも、トレード決断の一因になった可能性はある。レッドソックスは、先発ではFAだった左腕デビッド・プライスを獲得。トレードでは、パドレスから抑え右腕のクレイグ・キンブレル、マリナーズからはセットアッパーのカーソン・スミスを手に入れた。

 レッドソックスの場合、キンブレル、スミスに加え、上原浩治、田澤純一も抑え&セットアッパーとして期待される存在。また、最近の傾向として、今季覇者のロイヤルズ、昨季覇者のジャイアンツのように、ブルペンが手厚いチームがワールドシリーズを制するようになっている。ヤンキースがチャップマン獲りに踏み切り、チャップマン&ミラー&ベタンセスの強力トリオを結成しようとしたのは自然の流れだったのかもしれない。

 今オフは、トレードで内野手スターリン・カストロ(前カブス)、外野手アーロン・ヒックス(前ツインズ)を獲得しているヤンキースだが、これまで目立った動きはなかった。先発投手、そしてAロッド、テシェイラ、ベルトランと高齢化しつつある主軸のバックアップなど、まだまだ課題は残るヤンキースだが、チャップマンの加入を皮切りに、一気に動き出す可能性は高い。少し遅れたクリスマス・プレゼントに続き、大きなお年玉が舞い込むか。目が離せなそうだ。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

佐藤直子 プロフィール

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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