松田宣浩、ソフトバンク残留の裏側に迫る 決断までに何があったのか?

決断から代理人との契約までに1か月、なぜ“初動”が遅れたのか

 日本では、松田の代理人は福岡に拠点を置く弁護士が務め、ソフトバンクとの交渉にあたっている。この弁護士は当初、MLB球団からの問い合わせにも窓口となり、交渉役まで担うと周囲に伝えていたという。

 ただ、松田から信頼を寄せられる弁護士も当然、MLB球団との交渉を行ったことはなく、英語も堪能ではなかったため、苦戦した。MLB全球団に対して、松田に興味があれば日本語で弁護士の事務所まで問い合わせるよう明記したFAXを送ることも考えたという。ただ、メジャーの常識からは外れる行為のため、周囲の助言もあって断念した。

 そうしている間に、11月中旬のGMミーティングが終了。獲得に意欲を見せたパドレスは、日本での野球教室などを開催した後の11月下旬にプレラーGMらが福岡を訪れたものの、その他の球団に対する松田サイドの窓口はない状態だった。あるMLB球団関係者によると、MLBの代理人ではない日本の弁護士が奮闘している状況で、松田が本当にメジャー移籍を考えているのかと各チームの強化担当者が疑問を抱いていたという。

 松田はその後、グリーンバーグ氏と契約。強化担当者や代理人が一堂に会するウインターミーティング(12月7~10日)が開幕する数日前に、ようやくMLB球団との接点ができた。グリーンバーグ氏を中心とした代理人グループはウィンターミーティングで各球団に積極的に売り込み、松田の評価を聞き出したが、半月前のGMミーティングで“種まき”を出来なかったことは大きかった。

 実際に、各球団は松田をどう見ていたのか。MLB球団関係者は、守備に対する評価が極めて高かったことを明かす。さらに、ソフトバンクのムードメーカーの情熱やエネルギーを称える声もあったという。一方で、打撃に関しては、実際にやってみなければ分からないとの声がほとんどだったが、今後の可能性に期待する強化担当者も少なくなかった。松田に興味を示す球団は確かにあった。

 守備のレベルの高さから、スーパーユーティリティーとして獲得を検討する球団もあり「ゾブリストになれる」とも評価された。

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