規定ゼロ、カワサキ賞、イチ初登板…MLB日本人選手の2015年10大ニュース
岩隈は快挙達成、イチローはメジャー初マウンドへ
◯3位 投手、打者ともに「規定到達」ゼロ
ダルビッシュはトミー・ジョン手術で初めて登板なしに終わり、田中、岩隈はシーズン序盤で故障者リスト入り。イチローは予想以上に出場機会を手にしたものの、基本的には第4の外野手としての起用が続き、序盤は絶好調だった青木も不運な死球で欠場が続いた。日本人投手の規定投球回、野手の規定打席のどちらも到達者が出なかったのは実に21年ぶり。日本人選手にとって苦難の1年だった。
◯2位 岩隈、日本人2人目のノーヒットノーラン
開幕直後は不振が続き、右広背筋を痛めて故障者リスト入りした右腕だが、7月上旬に復帰後は安定感のある投球を見せた。8月12日の本拠地オリオールズ戦では、ノーヒットノーランを達成。116球を投げて7奪三振3四球の好投で、日本人投手のノーヒットノーランは野茂英雄以来、2人目の快挙となった。20試合で9勝4敗、防御率3.54と3年連続2ケタ勝利はならなかったものの、後半戦は先発ローテーションの中心で存在感を見せた。急転で残留が決まり、来季もマリナーズでへルナンデスとともに「先発2枚看板」としての活躍が期待される。
◯1位 イチロー、メジャー初登板
第4の外野手として加入したが、チームに怪我人が続出したこともあり、チーム最多の153試合に出場。昨年(385打席)よりも多い438打席に立った。王貞治氏の日本人通算得点記録(1967)と通算出塁記録(5289)更新、日米通算安打でMLB2位のタイ・カッブ(4191)超えなど“記録ラッシュ”となったが、シーズン通しては91安打、打率2割2分9厘と苦しんだ。
最も注目を浴びたのは、10月4日のシーズン最終戦。敵地フィリーズ戦で8回に4番手でマウンドに上がった。試合後に「1つの夢が叶った」と振り返ったメジャー初登板では、打者5人相手に2安打1失点。直球に加えて、スライダー、チェンジアップも投じ、米メディアにも大きく取り上げられた。
マーリンズは、イチローの若手への影響力なども高く評価し、シーズン終了直後に再契約を発表した。現在、メジャー通算2935安打、日米通算4213安打。来季はメジャー通算3000安打達成、日米通算ではピート・ローズの歴代最多安打記録(4256本)更新に期待がかかる。
来季は広島の前田健太投手がポスティングシステム(入札制度)で海を渡る予定。デビューイヤーでどんな活躍を見せるだろうか。岩隈が残留し、青木が加入したマリナーズの戦いや、ダルビッシュの復活などにも注目が集まりそうだ。「規定到達ゼロ」からの日本人選手の逆襲に期待したい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count