日本人投手に「怪我がち」イメージ? マエケン契約は今後の主流となるのか
メジャー関係者も「契約への影響」予見、「投手・前田」の資質には高評価
日本人投手の能力を高く評価し、数々の契約を結んできたカブスのセオ・エプスタイン編成本部長と昨季後半に話をした時、「最近の日本人投手が怪我をしやすいという状況は、多少なりとも今後メジャーに移籍してくる投手の契約に影響するのではないか」と予見していた。
もちろん、自身のフィジカル検査の結果が一番大きな影響ではあるが、今回の前田とドジャースの契約内容は、奇しくもエプスタイン氏の言葉が反映される形になっている。今後、日本人投手がメジャー移籍を果たす場合、この前田モデルが基本となる可能性もあるだろう。
さて、今回の契約で忘れてはならないのが、故障の可能性があっても、投手・前田健太の資質は高評価を受けているということだ。その背景には「肩肘は消耗品。手術をすれば治る」というメジャーの通念がある。たとえ手術して1年以上を棒に振ると想定しても、前田には8年契約を結ぶだけの価値があると判断されたわけだ。
選手や代理人にとってみれば、保証される契約が少ないことに不満や不安はあるだろうが、その働きに応じて報酬が増えるインセンティブ制度は球団にとっても選手にとっても「ウィンウィン」の条件。すべての歯車がかみ合い、「このチームで勝ってシャンパンファイトがしたい」という目標を1日でも早く達成できる日を待ち望みたい。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。