「人生で一番不安だった」―「怖さ」乗り越えド軍入団、前田健太の一途な想い
「出来高重視」の契約には批判も…「メジャーで投げたい思いが純粋に強かった」
また、地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」のビル・シェイキン記者はロサンゼルスでの入団会見後に「ドジャースの身体検査で引っかかったわけではなく、マエダ自身が受けた検査の結果を全チームに通達していた。そのため、市場は限られていた」と詳細を明らかにしている。ポスティングの申請から契約までの過程で、右腕の気持ちは「期待」から「不安」へと変わっていった。
「周りの方の電話が鳴るたびに不安な気持ちになったりとか、こんなに不安になるんだと思うような時間があった。正直、(ポスティングを)宣言するまですごく楽しみな気持ち、自分への期待しかなかったですけど、いざ宣言すると、楽しみじゃなくて不安な気持ちしかなかった。
うまくいかないことがたくさんあったので、このまま決まらなかったらどうしようと、初めてネガティブな気持ちになった。(様々な報道が出て)日本のファンはどう思っているのか、カープの選手はどう思っているのか、と考えてしまった。すごく不安な時期は続きました」
その結果として結んだ「出来高重視」の契約形態について、批判的な声もある。オプトアウト(契約破棄)の権利やトレード拒否権も含まれておらず、確かに球団有利な契約とも言える。ただ、本人は強い決意と自信をにじませる。
「しっかり投げればいいと思いますし、自信をもって(メジャーに)行くので、投げて結果を出したいと思います。契約内容はもちろん大事ですけど、メジャーリーグで投げたいという思いは強かったので、その強い気持ちが変わることはなかった。契約内容がいいのが一番ですけど、(メジャーで)投げたい思いが純粋に強かった」
前田は目指し続けたメジャーのマウンドで答えを出すことしか考えていない。強い思いは、必ずいい結果を生むはずだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count