「明日の保障」がない場所から―巨人に育成入団したオールドルーキーの挑戦
G新人15選手で最年長の27歳、約10年越しでNPB入りを果たした大竹
新しい戦いに胸を躍らせているようだった。巨人に育成ドラフト5位で指名された大竹秀義投手は、今回のG新人15選手の中で、最年長の27歳。1988年生まれの田中将大、前田健太、坂本勇人ら「黄金世代」と同い年にあたる。
「オールドルーキーです。よろしくおねがいします」
こう言って、まずは支配下登録を目指し、今年の練習をスタートさせた。10歳近く年下の高校生ルーキーらと一緒に、1月8日から新人合同自主トレでハツラツとした動きを見せている。
高校時代(埼玉・春日部共栄)には7回参考ながら公式戦でノーヒットノーランを達成した経験もある右腕。当時140キロ中盤を投げ、プロのスカウトからも注目を浴びた。国学院大に進学も中退し、独立リーグへ。信濃や富山でプレーした。プロを夢見たが、声がかからず「最後はアメリカで野球をやって終わってもいいのではないか」と海を渡ることを決意した。
2014年、レッドソックスのマイナーキャンプに招待された。名門球団のユニホームを着て、メジャーの舞台を目指した。しかし、3月中に契約解除され、現実を受け入れた。
それでも、野球への情熱は冷めず、日本の独立リーグ・富山に復帰。昨年は米独立リーグのシャンバーグ・ブーマーズでもプレーした。怪我とも戦い、過去に手術を3度も受けた経験を持つ。昨年、巨人の入団テスト受けた際に最速148キロの直球をマーク。スカウトの目に留まり、晴れてドラフト指名となった。苦労と経験を重ね、約10年越しで念願のNPB入りとなった。