甲子園5敬遠からプロ入り&一流へ 松井秀喜氏が語り続ける「一番大切なこと」
ずっとぶれない考え、「野球に一番大切なこと」
「敬遠は悔しくはないですね。作戦の一部だから仕方がないこと。試合に負けたことがとにかく悔しかったですね。高校最後の試合が1球もバットを振れずに終わってしまった。それはいい思い出だし、プロになっても心の中にはいつもあった。だから頑張ることができたと思う」
プロ入り後、何度もその試合のことを聞かれても答えは一貫していた。時には「甲子園で本塁打を何本も打つ選手はこの後、沢山出てくるでしょう。でも5敬遠は今後も僕だけではないでしょうか」「あの試合が僕を有名にしてくれたので感謝しています」と話し、とても前向きにとらえていた。
そこには、松井氏がずっとぶれていない「野球に一番大切なこと」につながっていた。
「野球に対して、敬意を払わないといけない。道具やチームメート、そして相手に対しても同じです。きちんと道具は手入れをして、キャッチボールも相手の取りやすいところに投げる。相手チームは敵だけど、それは試合までのこと。同じ野球をやっているわけだから、健闘を称え合う。野球選手として優しく、スポーツマンらしくしないといけない」
たとえ、試合内容や結果がどんなものであろうとも相手チーム、選手に敬意を表する。誰もができることではないが、松井氏にとっては当たり前のことなのかもしれない。
松井氏はこれからも野球の現場やメディアで多く登場するだろう。日本とアメリカを沸かせたホームランバッターが、どのような考えをもって一流になったのか。野球選手を夢見る少年たちにとっても、今後成長していく上で大切な要素となるに違いない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count